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竹取物語ーエンターテインメント性に溢れる物語。

小学館/日本古典文学全集8 竹取物語・伊勢物語・大和物語・平中物語

2013.09.25


お伽草子 岩波文庫/島津久基編校

エンターテインメント性に溢れる竹取物語。

お月見の季節だからということでもないですが、丁度、小学館「日本古典文学全集8 竹取物語・伊勢物語・大和物語・平中物語」を読み進めているので、「竹取物語」の感想を記しておこうと思います。
「物語」という言葉の中には、素朴かつ牧歌的、伝説的な印象があります。しかし、「竹取物語」の印象は、物語の類にしては『面白過ぎる』ということでした。
そこには、語り手(筆者)の『面白くしてやろう』という意図が、十二分に感じ取れます。
竹取物語が面白いのは、以下のような要素があるからだと思います。

異世界との接触。

異世界との接触という一点だけで成り立つ物語も少なくありません。ただ、竹取物語に出てくる月世界は、どこかで人間とつながった仏や鬼の世界とも、神話的世界とも違うようです。
月世界の人々は、人間世界に軽蔑的です。そこは感情すら無い世界だと言います。その力は強大であり、人間界の武力を圧倒します。
言わば、月世界は本来は人間界とはまったく関りを持たない異世界中の異世界です。
かぐや姫は、自分自身の存在について冷静かつ予見的です。翁との会話では自ら「変化のもの」と称します。
3年で年頃の娘に成長したと言いますが、天皇の前では生まれた時の姿を現します。
実は、かぐや姫の娘姿も幻術のような妖しい力が見せているに過ぎないのかも知れません。

女性(かぐや姫)の視点。

かぐや姫は、何故か結婚を望みません。求婚者らの登場以来、「結婚したくない」という、かぐや姫の心情がメインのモチーフとなってくる。
絶対的聖女のかぐや姫が結婚を逃れる度に、こちらもほっとしてしまいますね。

求婚者たちの行動。

もしも、『ヤッターマン』に『ドロンボー一味』がいなかったらどうなるでしょう。
求婚者たちはまさに、ドロンボー一味。
失敗するのは分かっているけれど、あの手この手でヒヤヒヤさせられます。
天皇だけはちょっと扱いが違いますが。

様式美。

物語の節目節目を言葉の由来で締括る。ただ、この言葉の由来は出鱈目で、言葉遊びに過ぎません。
それは恐らく、当時の常識を踏まえた上での出鱈目で、こういうことをやるのは、相当の知識人で、かつ、遊び心を持った人に限られます。
求婚者5人のうち3人は実在の人物とされており、権力批判と言う見方もあります。
しかし、高位の人たちをを揶揄した作者は、同等かさらに高位の人だったような気がします。




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